2016年3月末にアスツール株式会社を設立しました。絶賛プロダクト開発中!(サービス内容等については乞うご期待)
会社を作るにあたり、様々な手続きが必要になるんですが、意外にまとまった情報が無いんですよね。Google先生に聞いたり、先輩方から教えてもらい、なんとか無事設立できました。今後起業を決意した人が、サクッと会社を作れるように、「会社設立時の完全作業マニュアル」をまとめてみたいと思います。
そもそも法人をつくるべきなのか?
個人事業でやるのか、法人化するのか。法人化するなら株式会社か合同会社か。
このあたり、初めて会社を立ち上げる人は知っておくべき!会社設立で失敗しないための全手順 を読むとよいと思います。
個人的には、事業を大きくしていくつもりがあるなら、迷わず法人化するべきだと思います。
いざ、設立
第一関門は定款(業務内容・資本金・代表者・住所等、会社の内容を定義する書類)づくりです。Freee会社設立を使いましょう。このサービス無しに、自分でこんな書類を作った人もいるのか・・・と思うとゾっとするぐらいです。神サービス。
スタバで使ってみた税理士が贈る、会社設立freee+αのアドバイスも合わせて参考にさせて頂きました。
定款の内容を考えよう
Freee会社設立が決めるべき事を聞いてくれます。
会社名:お好きなものを。ぼくは会社のビジョン、ドメイン名の空き、なるべくア・Aではじまる名前がいいなと思って選びました。愛着と誇りを持てる名前にしましょう!
住所:僕は実務はコワーキングスペースでやっていますが、今後移転の可能性大なので登記は実家の住所にしました。法務局や年金事務所に行く時は、実家がある練馬区に行かなければならないのが唯一のデメリットですが、年に2-3回ぐらいしか無いのでそれほど負担にはならないと思います。
資本金:いくらでも大丈夫ですが、最低でも100万円はあったほうがいいでしょう。
発行株式数:慣行だと1株1万円だよ、みたいな記事も見かけましたが、ある投資家の方から、もしスタートアップをやるなら株はなるべく沢山発行しておいたほうがいいよとアドバイスをもらいました。外部調達を重ねて株主が増えてくると、株式を分割しなければならなくなるので。というわけで、3円 x 100万株で300万円の資本金とすることにしました。
会社印を買おう
これから沢山の書類にハンコを押すことになります。速攻でオーダーしちゃいましょう。
会社設立Freee上でもオススメの会社印が売られてて、それでもOKなのですが、僕はどうせ作るなら材質とか書体とかもう少し広い選択肢から選びたかったので、別途オーダーしました。
この記事を読んで、会社印ってどんなものかのイメージを掴みました。
実印(代表印)・銀行印・角印の3つを作るのが一般的のようですね。ぼくはInkans.comというサイトで、コレをオーダーしました(材質は黒水牛、書体は篆書体)
印鑑の有効性ってどうなのよ?と思ったりもしますが、行政の仕組み・商習慣に深く入り込んでいるので、ここは従うしか無いです。(だれかがディスラプトしてください)
会社印で犯した恥ずかしい間違い
届いた印鑑を使って、早速登記書類を練馬法務局に提出しました。登記はもちろん会社の実印を使うわけですが、そのときに皆さんなら下の印鑑のうち、どれを使いますか?
ぼくはてっきり一番右の一番大きな印鑑が実印だと勘違いしてしまい、これを押して登記書類を提出してしまいました。でも、実は正解は一番左のやつでした。
通例は下記のように使い分けるみたい。
実印(左):真ん中に代表取締役と書いてある丸い印鑑。契約書や登記書類に使う。言うまでもなく一番大事。
銀行印(中央):真ん中に銀行印と書いてある丸い印鑑。銀行への提出書類に使う。実印と分けることで安全性を保つ。
角印(右):でっかく社名がのってる四角い印鑑。請求書などに使う。
法務局の人は、別に役所としてはどんな印鑑でもいいので、このままでもいいですよ、と言ってました。でも、まだ契約書も何も結んでいない状態だったので、ちゃんと直したいなと思い、もう一度法務局に行って、登録印の変更をしてきました。
というわけで、印鑑を押すときにはしっかり陰影とカタチを確認してから押しましょう!
顧問税理士さんを探す
自分で全ての会計業務をやることも可能だとは思いますが結構たいへんです。日々、これは費用化できるのかな?この場合の仕訳はどうするんだろう?みたいな疑問が湧いてきますし、決算手続き時には業務が止まってしまう。法人税の計算は超難しい。それらを考えると、顧問税理士さんはつけたほうが絶対いいと思います。
私は3名の税理士の方とお会いした上で、鈴木会計事務所さんのスタートアップ期応援プラン(毎月の顧問料は無料、決算時8万円)でお願いすることにしました。
仕訳はMoneyFowardのMFクラウドを使って自分でやりつつ、分からないところを税理士さんFacebook messenger等で教えてもらっています。スピーディかつ的確にアドバイスを頂けるのでとても助かってます。
領収書を送って記帳(仕訳)まで全部やってもらうサービスを提供している税理士さんもいますが、立ち上げ直後だとそれほど費用の件数も多くないですから仕訳は自分でやってコストセーブすることにしました。実際、記帳・仕訳は1ヶ月合計で2-3時間程度ぐらいしか時間がかかってないですね。
会計ソフトを選ぶ
Freee or MFクラウド(by MoneyFoward)の二択でしょう。どちらも評判よいので、正直どっちでもOKかと。
このへんの比較記事が参考になるでしょう。あえて言うなら、Freeeのメインターゲットはフリーランスなどで簿記の知識があまりない人、MFクラウドは簿記の知識が多少ある人や法人、という感じでしょうか。
ぼくは、MoneyFowardの創業者の辻さんがソニー時代の先輩なので、MFクラウドにしました!
オフィスを選ぶ
固定費をなるべく抑えるため、最初はコワーキングオフィスでサービス開発をすることにしました。僕の家からは五反田が出やすいので、五反田のPAOというコワーキングを契約しました。
その後、リクルートさんが運営しているTech Lab Paakというイノベーション支援施設の審査をパスし、こちらも使わせて頂いています。ロケーションはApple Store渋谷と同じビル、熱気あふれるコミュニティ、無料のドリンクとお菓子、と至れり、尽くせりです。
昨今の起業熱の高まりで、自治体も活発に創業支援施設を立ち上げていますので、こういった施設を活用するのもよいと思います。
社会保険への加入
法人化すると社会保険(健康保険や厚生年金)への加入が義務になります。負担コストが増えるので、創業間もない会社はこれを無視している会社もあるようですが、これからちゃんと取り締まっていくよ、という方向にあるとのこと。
今後スタッフを雇用していくつもりであれば、安心して働ける職場を作るという意味で加入したほうがよいでしょう。
手続きは、役員報酬額だけ決めて、年金事務所に行きましょう。書類の記入等は、スタッフの方々が懇切丁寧に教えてくれます。
自分(創業者)の役員報酬をどうするか
自分で資本金を入れて、それを報酬で引き出してもしょうがないですよね。報酬の分だけ所得税徴収されてしまいますし。ただ報酬無しにしてしまうと、健康保険や厚生年金のベネフィットが受けられなくなってしまうので、最低レベルということで8万円/月の役員報酬を設定しました。外部からの資金調達が成功したら、もう少しサステイナブルな料金にしようとは思ってますが。
いずれにしろ創業者はなるべく資本燃焼を抑えて、会社全体の評価額(株価)を上げることのほうに注力すべきかと思います。
法人口座の開設
個人のお金と法人のお金を明確に分けるため、法人口座の口座は必須です。個人の口座開設は超簡単ですが、法人口座の開設は意外と大変です。
大きく分けて都市銀行かネット銀行かの選択肢があります。都市銀行はなんとインターネットバンキングを使う場合、毎月2160円もかかります。(普通の口座なら無料)
楽天銀行や住信SBIネット銀行などのネット銀行は、ネットバンキングを使っても維持費はかかりません。
このへんの詳しい情報は、銀行間比較の記事が参考になりました。
基本的にはネット銀行でよいでしょう。
BtoBのビジネスをやろうと思ってて都市銀行だと信用度が増す、毎月何度も都市銀行宛の振込みをする必要があるとか、そういった事情があるなら都市銀行での口座開設を検討すればよいでしょう。
私は楽天OBということで、楽天銀行で開設しました!
審査意外に厳しかったです。事業計画のような書類をFAXで送ったりしました。
法人口座開設にあわせて、この口座に紐づくJCBデビットカードを作ったのですが、JCBのクレカに対応しているサービサーであればクレカと全く同じように使えるので、重宝しています。デビットはコスト発生と支払がずれないので仕訳も楽です。
固定電話番号の取得
携帯電話がこれだけ普及したにもかかわらず、未だに固定電話の番号必須、ということが時々あります。とはいえ、03番号で固定電話を引いても、オフィスや自宅にいつもいるわけではないし、コストは高い。
僕のオススメは、SMARTalkや050Plusを使って050の番号をスマホで取得する、です。発話時には、SIMにアサインされている090/080/070の番号ではなく、050の番号が表示され、この050番号で着信することもできます。(ただし、iPhoneは着信時の振る舞いは通常の電話の着信通知ではなく、3rd partyアプリの通知になる)
この2つのサービスの比較記事はこちら。
外部投資家からの資金調達
これは奥が深すぎて、1ブログエントリーではカバーしきれないですね。
スタートアップの資金調達バイブル本を読みましょう。
この本は、株式による資金調達について書かれていますが、デット(借り入れ)という選択肢もあります。政策金融公庫の創業融資は個人保証なし・無担保で有融資をしてくれる可能性があります。利子は2%強と、マイナス金利時代にしては高いですが、信用も実績もない会社がこれくらいのコストで資金を調達できるのならばよい条件でしょう。持ち株比率を落とすこと無くある程度の仮説検証を進めたいという際には、非常に有効なオプションになり得ると思います。
さぁ本業にフォーカスしましょう
以上、創業日から僕がEvernoteに貯めてきた手続きのTips大放出でした。
エンジニアリングでは「車輪の再発明を避けよう」という文化がありますが、ビジネス面でも、みんなが同じようにやっている作業とかはオープンなKnowledgeにして、よりユニークな価値を作るための「本業」に集中できる時間を増やしていきたいものですね!
追伸
アスツール株式会社ではiOSエンジニア・サーバーエンジニアを募集しています!(特に自然言語処理ができるサーバーエンジニアさん)
ゼロからのサービス立ち上げ・会社立ち上げにエンジニアとして関わってみたい、という方はぜひお声がけくださいませ。フルコミット大歓迎ですが、本業の傍ら夜だけなど、フレキシブルに対応可能です。
2016年6月12日 at 12:26 PM
> 携帯電話がこれだけ普及したにもかかわらず、未だに固定電話の番号必須、ということが時々あります。
具体的にはどんな時でしたか?
2016年6月12日 at 10:25 PM
銀行口座開設時に必要でした。
あともう一度くらいあった気がするのですが失念しました・・・
2016年6月13日 at 6:02 PM
なるほど、銀行ですか。ありそうな話です。
こういう連中って、なぜ固定電話でないといけないのか? と聞くと論理的な説明ができません。非論理的な連中が金融とか言ってんですからお笑いです。
旧弊で無意味なことを押し付ける銀行のような保守的で頭の悪い人達が早くビジネスの世界から消えてくれるといいんですけど。
一番いいのは、固定電話を要求するような奴らとは取引しないことですね。
2016年6月13日 at 6:29 PM
おっしゃる通りだと思います。
固定電話よりもっと困るのがFaxで書類送信を要求してくる場面です。
Appleのデベロッパーアカウントをつくるにあたり、DUNS番号というのが必要で、そのときに東京商工リサーチというところに番号取得をお願いしたんですが、そこでFAXのみと言われて固まってしまいました。。。
早く、携帯&メールのみで全ての会社のオペレーションができるようになるといいですね。
まぁお役所&古い会社たちがキャッチアップするころには、時代はまた移って、なんでここはSlackでの連絡に対応してないんだ!とか言ってるかもしれませんがw
2016年11月19日 at 1:13 PM
大変参考になりました!ありがとうございます!
私も検索して情報収集していたのですが、起業までの流れがざっくり?しすぎていて、だからどうするんだよ状態でした。
2016年12月22日 at 2:25 PM
お役に立ててよかったです!